ガソリンスタンド経営者のみなさま
少子高齢化、高齢者の免許返納、ハイブリッド車など自動車の燃費改善など、ガソリン消費が減少し、1994年をピークに、ガソリンスタンドは減少傾向にあるといわれています。
ガソリンスタンドの廃止をお考えの経営者のみなさまにとって、地上構造物の解体と地下油槽の撤去の負担に加え、土壌汚染の問題が浮上したとき、土壌汚染調査をするだけで、少なくないコストが発生しますので、まったくもってして、と、苦慮されるのではないでしょうか。
まず、ガソリンスタンドを廃止する際、全国すべての事業所で、法令による土壌汚染調査の義務が生じるわけではありません。通常、ガソリンスタンドの洗車機は、特定施設の設置を自治体に届けますが、特定有害物質の使用がないため、ガソリンスタンドの廃止時に、土壌汚染対策法第三条の調査対象とならないからです。
板金塗装工場等を併設するなど、ガソリン等の小売り関連以外で、特定有害物質の使用が届けられているか、東京都など、特定の自治体が独自に定める条例によって、廃止時調査の義務が生じることがありますので、確認が必要です。
法・条例 | 土壌汚染の調査の義務など |
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土壌汚染対策法第三条 | ガソリンスタンドが、特定有害物質使用特定施設に該当しませんので、廃止時に法に戻づく土壌汚染調査の義務は生じません。 |
土壌汚染対策法第四条 | 3000平方メートルを超える土地の再開発等では、土壌汚染調査の対象になります。 |
都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(東京都環境確保条例) | ガソリンスタンドの廃止から120日までに、土壌汚染調査をして報告しなければなりません。 |
横浜市生活環境の保全等に関する条例 | ガソリンスタンドの廃止から120日までに、土壌汚染調査をして報告しなければなりません。 |
その他条例のある自治体 | 埼玉県、香川県、愛知県、川崎市、さいたま市 |
項目 | 概要 |
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ベンゼン | 2000年以前のガソリンにベンゼンが含まれていた可能性があります。 通産省が2000年にガソリンのベンゼンレスを義務化しました。 |
鉛 | 1987年以前は、有鉛ガソリンも利用されており、1987年以降は公道を走る自動車はすべて無鉛ガソリンになりました。バッテリの交換場所や一時置き場には、鉛蓄電池としての鉛汚染リスクがあります。 |
ほう素 | ブレーキオイルには、現在のメーカ純正品でも、ほう素が含まれていることがあります。 |
油類 | 法に定める項目ではありませんが、不動産取引時には、油類による土壌汚染調査が実施されることが多く、調査の深度は任意ですが、地下油槽の下等も調査することがあります。 |
調査の場所; | 鉛・ほう素(表層土壌調査) | ベンゼン(土壌ガス調査) |
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給油スペース 遠方給油口 その他の場所 |
コンクリート土間を掘削し、地表面から深度5cmと、深度5cmから深度50cmの土壌試料を採取して混合して分析します | 直径2cm、深さ80cm調査孔を掘削。調査孔内の土壌ガスを採取分析する土壌ガス調査をします |
修理作業場 廃棄バッテリ置場 |
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埋設配管 | コンクリート土間を掘削し、埋設配管の下の深度から50cmの土壌試料を採取して分析します | |
油水分離槽 配管点検マスなど |
コンクリート土間を掘削し、油水分離槽や配管点検マスなど下の深度から50cmの土壌試料を採取して分析します | |
地下油槽 | コンクリート土間を掘削し、地下油槽下の深度から50cmの土壌試料を採取して分析します |
土壌汚染の調査は、事業所敷地の最北の地点から10mごとに区画して、それぞれの区画で汚染のリスクを評価して、調査地点を設定します。地下埋設配管があればその近接、給油設備があればその周辺、といった具合です。
集水溝、廃バッテリ置場、遠方給油口の周辺も汚染のリスクの高い場所になります。高リスクのない区画では、区画の範囲の中心に調査地点を設定します。
集水溝の付近に調査地点を設定しています、このサイトでは、土間の厚さの範囲に、修水溝の底があったので、土間コンクリート下の地表面から50cmが調査深度となります。
集水溝の付近に調査地点を設定します、油水分離槽の底の深さが1.29mなので、槽の底の厚さを10cmとして、1.39mから1.89mの土壌試料を採取しました。
遠方給油口の前面は、埋設配管があり、危険なので、少しよけて土壌ガス調査孔を掘削しています。
給油設備の近傍で土壌ガス調査をしました。配管の図面から、埋設配管がない範囲で調査をしています。
遠方給油口の前面は、埋設配管があり、危険なので、少しよけて表層土壌調査をしました。
土間の厚さが30cmなので、GLからは80cmまで掘削します。
埋設配管の点検マスの中、場内には、レギュラーガソリン、ハイオクガソリン、軽油の3種類の配管が複雑に埋設されていますので、慎重に調査地点を設定します。
地表面から深度15cmの土壌試料での油膜調査の状況です。
不動産取引時には、油類による土壌汚染調査をご提案しています。
調査後は、モルタルで調査孔を修復しますので、操業中の調査、調査後の操業も心配ありません。